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建物

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港区指定有形文化財 旧公衆衛生院

この建物は、東京大学建築学科教授の内田祥三よしかず により設計され、昭和13(1938)年に竣工した旧公衆衛生院です。構造は鉄骨・鉄筋コンクリート造、スクラッチタイルで覆われたゴシック調の外観で、「内田ゴシック」と呼ばれる特徴的なデザインとなっており、隣に建つ東京大学医科学研究所と対になって建てられました。建物の内部にも、院長室や講堂のほか、細部にわたる意匠など当時の様子を伝える部分が多くあります。歴史的に貴重なこの建物を保存・改修し、郷土歴史館を中心とした複合施設として活用しています。建物は無料で見学していただけます。

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中央ホール [2F]

中央の吹き抜けや、白黒の床、薄紅色の壁面、天井の漆喰レリーフが特徴的で、建物内随一の華やかな空間となっています。

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旧講堂 [4F]

340席を誇る大講堂です。階段状に配置された椅子が特徴的で、昭和初頭の学校建築の様子を見ることができます。

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旧院長室・旧次長室 [3F]

当時、最新素材であったベニヤ材を見ることができます。手の込んだ寄木細工で作られた院長室の床も見どころです。

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旧図書閲覧室 [2F]

多くの研究者や保健師が利用していた図書室です。主に公衆衛生についての書籍が配架されていました。

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旧食堂 [1F]

柱に貼られた泰山タイルが特徴的な落ち着いた空間です。現在はカフェとして利用されています。

設計者 内田祥三よしかず について

明治18(1885)年、深川生まれ。東京大学卒業後、現在の三菱地所に入社。後に大学院に戻り、博士号を取得、教授となります。大正12(1923)年の関東大震災後、大学の営繕課長を兼務し、キャンパスの復興に従事。その前後に設計した、通称安田講堂をはじめ、本郷キャンパスや駒場キャンパスといった東京大学の建物は氏の代表作となっています。昭和2(1927)年に自ら設計した自邸は、港区西麻布にあり、亡くなる昭和47(1972)年までそこで暮らしていました。

建物の歴史

昭和13(1938)年 厚生省の管轄で「公衆衛生院」として建物が竣工
昭和15(1940)年 「厚生科学研究所」に改組
昭和17(1942)年 「厚生省研究所」に改組
昭和21(1946)年 「国立公衆衛生院」と改組
平成14(2002)年 「国立保健医療科学院」と改組し、その後、組織が和光市へ移転
平成21(2009)年 建物・敷地を港区が国から取得
平成30(2018)年 港区が耐震補強やバリアフリー等の改修工事を実施し、「ゆかしの杜」として開館
令和元(2019)年 港区指定有形文化財に指定