増上寺十三世正誉廓山自筆涅槃図置文
- 所在地
- 芝公園4‐7‐35
- 所有者
- 宗教法人増上寺
- 概要
- 1通 古文書 平成11.10.12指定
- 法量
- 縦42.0cm 横62.5cm
- 公開状況
- 非公開
本文書は平成2年度に区指定文化財(絵画)として指定された増上寺蔵「涅槃図」の制作年代、筆者とその成立の由来を知る貴重な文書です。偶然の機会から発見された本文書は(注)、元和10年(1624)2月15日の年記を有する増上寺第十三世正誉廓山自筆の文書です。
文書末尾にみえる「絵師狩野隼人佐〈はやとのすけ〉秀信筆」の10文字は、本文とは別筆と考えられますが、同時代の記載と思われ、涅槃図に捺印されている「秀信」の朱印の信憑性を裏付けるものです。また涅槃図の施主が伊勢国阿野津出生の清雲院殿心誉光質清信女(家康側室・於奈津)であったことなど絵画そのものからは確かめ得ないいくつかの事実を提供してくれます。区内に残る江戸時代初期の新発見の文書として、その価値は甚だ高いといえます。
(注)本文書は、平成9年度に行われた増上寺「涅槃図」の文化財保存修理事業の過程で発見されました。
保存修理事業は、破損部分の修復および表装の新調を目的として行われました。その際に、古い表具では長さおよそ4m、太さ30_ほどの丸太の軸が使用されていたため、かなりの重量があり、絵画の保存上好ましくないため、寄木により軽量化した新しい軸に取り替えることにしました。それにともない従来の軸は破棄することとなりました。
軸の分割処理をはじめたところ、中が刳りぬかれ、文書が納められていることが明らかとなりました。なお、従来の軸は保存することとなりました。