奈良時代写経
- 所在地
- 芝公園4‐9‐8
- 所有者
- 宗教法人妙定院
- 概要
- 2巻 書跡 昭和60.10.15指定
- 法量
- (瑜伽師地論)縦25.5cm 全長 本紙887.9cm+添紙84.0cm (称讃浄土仏摂受経)縦24.6cm 全長 本紙497.2cm+添紙96.7cm
- 公開状況
- 非公開
- 写真タイトル
- 称讃浄土仏摂受経(左) 瑜伽師地論(右)
明治年間に京都知恩院から付与されたものです。いずれの写経も、経文・奥書ともに整った楷書で書かれており、奈良時代の謹厳な書風がよく現れています。奈良時代後期の典型的な写経として貴重な存在です。
瑜伽師地論〈ゆがしじろん〉 巻第六十六(紙本墨書) 1巻
黄麻紙(19枚)を接いで、墨界線(縦20.0cm、幅1.9cm)を引き、1行17字詰に墨書されています。
奥書によると、法隆寺東院伽藍の建立にも尽力した僧行信が、国家をたすけ四恩に報い、かねて群生を済度するため、法華経・金光明最勝王経・大般若経・瑜伽師地論の合計2,700巻の書写を発願し、志半ばで死去したため、弟子の孝仁らがその遺志をついで神護景雲元年(767)9月完成したものであることが知られます。経文・奥書とも謹厳な楷書はその頃の写経の書風をよく示していますが、天平神護3年(767)8月に神護景雲と改元したため、その四字年号は削り書き改められています。巻末、巻首、継目紙背などに「法隆寺一切経」の黒方印(一辺4.7_)6箇が捺されています。なお、この種類の写経は、俗に「行信願経」、また虫喰いが多いことから「虫喰経」ともいわれており、京都国立博物館(巻第二十一)、根津美術館(巻第三十四)などが知られています。
称讃浄土仏摂受経〈しょうさんじょうどぶつしょうじゅきょう〉(紙本墨書)1巻
黄穀紙(14枚)を接いで、墨界線(縦19.9_、幅1.9_)を引き、1行17字詰に墨書されており、整斉な楷書に奈良時代写経所の書風が認められます。「称讃浄土経」とも略称され、「仏説阿弥陀経」(鳩摩羅什訳、402年頃)の異訳本(玄奘訳、650年)です。この経は天平年間より書写されています。なお、称讃浄土経は京都国立博物館、東京国立博物館、当麻寺などに現存しています。