伊奈半十郎忠治書状
- 所在地
- 芝大門1‐12‐7
- 所有者
- 宗教法人芝大神宮
- 概要
- 1通 古文書 平成5.9.28指定
- 法量
- 縦30.6cm 横43.9cm
- 公開状況
- 非公開
伊奈半十郎忠治より芝大神宮神主左近大夫宛の書状です。差出者の伊奈忠治は江戸時代初期の幕府官僚の一人で、忠次の子。文禄元年(1592)に生まれ、元和4年(1618)3月、兄忠政の没後、関東郡代を継ぎ、関東一円と駿河・遠江・三河の代官職を勤めました。承応2年(1653)6月没。
本文書は書状の常で、年を欠き、「正月七日」と月日のみを記していますが、おそらくは彼の関東郡代時代の書状だと考えられます。芝大神宮神主が前日の6日に新年の挨拶のために伊奈家へ参上したことの返礼として、翌7日に使者をもって本書状を送りました。右端に見える「ウワ書」の部分は、本来の本文書の裏側にあったものを、表装に際し現状に変更したものです。差出書、宛書、脇付(「御宿所」の部分)ともに丁重で、宛名の上の部分は封じ目ともみえますが、上所の「謹上」を著しく簡略に記したものと思われます。これはほぼ対等の間で取り交わされる礼式を示しています。
宛名の「神主左近大夫」については、当時の芝大神宮の神主という以外、詳細は不明ですが、本文書より近世初頭における芝大神宮と幕府側要人の一人伊奈忠治との関係を具体的に知ることが可能で、伝来、保存ともに良好な貴重な資料です。