芝大神宮の力石
- 所在地
- 芝大門1‐12‐7
- 所有者
- 宗教法人芝大神宮
- 概要
- 1点 有形民俗文化財 平成7.9.26指定
- 法量
- 長径(地上部)72cm 短径54cm 厚26cm
力石は、重い石を持ち上げて「力競べ」や「曲持ち」を行った際に使用した石です。
石に対する信仰は古くからあり、神の依代である重い石を持ち上げて力を競い、その年の吉凶や稲作の豊凶を占う行事もその一つでした。江戸時代に入ると、それが娯楽化され、若者が大きな石をさし上げて力を競う、いわゆる力石の民俗が、全国的に広まり、特に、文化・文政期(1804-30)には特定の人物の名が各地の力石に刻まれるようになることから、職業的な力持ち力士による興行が行われるようになったといわれます。
芝大神宮の力石は「五十貫余」の切付〈きりつけ〉とともに「川口町 金杉藤吉」の名前があります。これは明治時代に活躍した有名な力持ち力士の一人である芝金杉川口町(現芝一丁目)の山口藤吉(慶応3年・1867生)、通称「金杉の藤吉」のことです。芝大神宮で力持ちの興行が行われた時、金杉の藤吉がこの石を片手でさし上げたと伝えられています。なお、「金杉藤吉」の切付のある力石は、江東区や江戸川区、さらには川崎市にも存在が確認されています。
港区内には8寺社に合計16個の力石が残されていますが、当時の力持ち力士の伝承が伴っているのは芝大神宮のこの力石のみで、都市の力石の民俗を知る資料として貴重なものです。