絵馬 市川莚升 大星由良之助図
- 所在地
- 高輪2-11-1
- 所有者
- 宗教法人泉岳寺
- 概要
- 1面 有形民俗文化財 平成18.10.24指定
- 法量
- 縦69.0cm 横104.5cm
歌舞伎役者の市川筵升〈えんしょう〉(1880-1940)が、『仮名手本忠臣蔵』四段目「返し」の場面の大星由良之助を演じる様を描いた絵馬です。この興業は、明治37年(1904)、明治座で行われました。由良之助、若狭之助、定九郎などを演じた市川筵升は、その成功を祈願し、成就したため願解きのために翌年この絵馬を泉岳寺に奉納しました。筵升は、のち二代目左団次を襲名。歌舞伎の海外公演を行うなど、演劇改良運動にも尽くしました。
絵馬の筆者である四代目鳥居清忠(1875-1941)は江戸市村座の看板絵師であった鳥居清元以来、清信(1664-1729)、清倍(1694-1716)と続き、代々、役者絵を得意とする鳥居派の画系に属する浮世絵師として明治時代に活躍しました。
また、絵馬制作の由来を記す賛を、漢学者であり、劇評家、小説家でもある依田百川〈よだひゃくせん〉(学海、1833-1905)が記しています。
江戸の香りをいまだ残す、明治期の芸術・文化を知る資料として貴重です。