涅槃図
- 所在地
- 白金台3‐2‐19
- 所有者
- 宗教法人瑞聖寺
- 概要
- 1幅 絵画 平成13.10.23指定
- 公開状況
- 非公開
大津絵(近江絵)風の珍しい涅槃図です。
涅槃図は、釈迦の入滅(死)の場面を描いたものです。横臥する釈迦を囲んで、悲しみにくれる仏弟子や動物たちの姿を、簡略な筆致とわずかな彩色を交えながら実に軽妙に表しています。
「大津絵」は江戸時代の元禄年間(1688-1704)頃に始まり、明治以降まで、滋賀県大津の追分、三井寺の辺りで制作された絵です。民間信仰の対象として、阿弥陀来迎、青面金剛、十三仏、雨宝〈うほう〉童子、地蔵菩薩、天神などの仏画類が、その初期には好んで描かれたとされます。やがて藤娘、念仏鬼などの世俗的な画題も登場し、仏画に代わって大いに流行しました。
涅槃図は大津絵の画題としては珍しく、文献の上でも僅かな例が知られるのみです。加えて本図は、通常は縦80cm、横30cm内外の法量の図がほとんどである中にあって、縦70.9cm、横118.7cmという横に広い大画面に描かれた特殊な現存遺品であるという点からみても貴重です。制作時期は、図に用いられた描線や筆致の特徴からみて、江戸時代後期(19世紀)と考えられます。