善福寺本堂
- 所在地
- 元麻布1‐6‐21
- 所有者
- 宗教法人善福寺
- 概要
- 1棟 建造物 平成21.10.27指定
善福寺本堂は浄土真宗に特有の形式をもつ大規模な本堂です。当初、東本願寺八尾別院大信寺の本堂として建設された建物を移築して、昭和36年に現在地で組上げたものです。大信寺は慶長 年間の創建で、移築された本堂は明和4年(1767)に再建されたものです。再建の際に創建当初の柱など建築部材を一部利用したと思われます。正面7間、奥行10間。入母屋屋根、桟瓦葺。広い外陣と装飾性豊かな内陣、内陣の正面を華やかな欄間彫刻で飾り、金、極彩色で仕上げ、浄土真宗特有の形式をとります。組物は尾垂木付の二手先です。
天明の大火で京都の東本願寺が焼失したので、同8年(1788)東本願寺へ移築されて御影堂として使用されました。同寺の御影堂が寛政10年(1798)に再建されたので、八尾別院に返却されて、寛政11年(1799)に再建完成しました。善福寺は昭和20年5月の米軍空襲で伽藍を失いましたが、本堂の復興のために昭和28年に八尾別院の本堂を買い取り、解体した部材を鉄道で東京に運び、昭和36年に再建完成させました。平成19-20年の修理では、痛んだ材を取替え、内部の彩色を一新し、また軒も古材から復元しました。
3度の移築を経ているのですが、全体として当初の形を損なわずに現在に至りました。もっとも大きな変更は、昭和28-36年の移築の際のことと思われますが、外陣両側の間と、矢来の間が少し切詰められたことです。
本建築は江戸時代の大規模な浄土真宗の本堂の構成を良く示す都内有数のものであり、また建築の多様な履歴も含めて、大変に貴重な建築です。