白隠慧鶴筆「金剛窟」(室号)
- 所在地
- 高輪3-16-16
- 所有者
- 宗教法人東禅寺
- 概要
- (紙本墨書)1面 書跡 平成22.10.27指定
- 法量
- 縦90cm 横168cm
- 公開状況
- 非公開
近世臨済宗中興の祖として知られる白隠慧鶴(1685~1768)は75歳のとき、江戸深川の臨川寺で『碧巌集』を講義しています。この書はその折、東禅寺おいて書いたものと想定され、また「金剛窟」の語は『碧巌録』第35則「文殊の前三三」によります。
3枚の紙を横に継ぎ、1紙に一字あてで「金剛窟」と書かれ、扁額装となっています。各紙とも左右が切り詰められ窮屈な配字です。落款印章はありません。本書の書体は白隠80歳代のたっぷりと丸みを帯びた特有の書体と異なり、角の立つ剛毅な書体を示す70歳代のもので、書かれたと想定される時期との齟齬はありません。なお本書と書風が近いものに、白隠が伊那を訪れた73歳の書とされる上伊那西岸寺所蔵の「大極嶺」があります。
本書は白隠70代半ばに書かれ、行状ともつながる、貴重な作品です。