絹本着色当麻曼荼羅図
- 所在地
- 芝公園4-9-8
- 所有者
- 宗教法人妙定院
- 概要
- 1幅 絵画 平成24.10.24指定
- 公開状況
- 非公開
当麻曼荼羅は唐の善導による『観無量寿経疏(かんむりょうじゅきょうしょ)』に基づいて描かれた阿弥陀浄土変相図で、奈良・当麻寺のものを原本とします。正式には「観経変相図(かんぎょうへんそうず)」と称し、画面中央に阿弥陀三尊を描き、宮殿や宝池を配した浄土の様子が表わされています。向って左縁には『観経』序に書かれる説話を、右縁には十六観相のうち十三観相までを、下縁には九品往生を描きます。
本図は当麻寺本をほぼ六分の一に縮尺して描かれたものです。菩薩の宝冠や装身具は金箔を押し、伸びやかな墨線で輪郭を描きます。着衣の文様や衣文線、光背の輪郭線には截金(きりがね)が、宝池や虚空、建物などには金泥が用いられています。また繧繝彩色は紺色に丹(たん)を、緑色に紫を対応させる正統なもので、輪郭線は朱線とします。下縁に描かれる来迎像が坐像ではなく、新様の立像です。本尊阿弥陀三尊像を描く手堅い描線や、仏菩薩の着衣に施された細緻な截金文様などからも鎌倉時代末(十四世紀初め)に描かれた作品と考えられます。
港区に現存する鎌倉時代仏画の優品として指定に価します。