宇田川家文書
本資料は、区内在住の宇田川家より寄贈された資料群です。宇田川家は、江戸時代、現在の港区高輪二丁目の一部に当たる下高輪證誠寺門前に居住していました。仕立て職を営んでいた宇田川家は、代々「革屋八郎兵衛」を名乗り、肥後熊本藩細川家の御用商人を勤めていました。
資料点数は、文書46点及び出入札1点で、年代は、宝暦5年(1755)から大正3年(1914)に及びます。多くは幕末から明治期に集中しており、中でも土地関係と商業関係の資料が比較的充実した形で残されています。
細川家から与えられる御用商人としての特権は、細川家役人から直令、請入札、御門出入札などと呼ばれる通行手形を兼ねた許可証で認められています。また宇田川家は明治維新後も細川家との関係を継続しており、大正期までの文書が確認されています。宇田川家文書は、御用商人という特権を与えられた商人の家の社会的活動の諸相を明らかにし、大正期にも及ぶ旧大名家との継続的関係を知ることができる貴重な資料群であるといえます。