増上寺梵鐘
- 所在地
- 芝公園四丁目7-35
- 所有者
- 宗教法人増上寺
- 概要
- 1口 工芸品 平成30年9月25日指定
- 法量
- 総高約330㎝ 口径176.6㎝
- 公開状況
- 公開
総高が約330㎝、口径176.6㎝、重さが約15tといわれ、東日本では最も大きな梵鐘です。鐘身は乳の間から下方に向けて穏やかに膨らむ円筒形を呈し、裾が下端の駒ノ爪に連なります。笠形の高さが際立って高く、上面中央に龍頭を据えます。龍頭は二頭の龍が相反する形で、背には蓮台に載せた火焔宝珠を置きます。縦帯と中帯が交わる位置2カ所に筋弁八葉蓮華文の撞座を設けます。下帯には蕨手を交互につなぐ唐草を鋳出します。鋳造は延宝元年(1673)です。
作者の椎名伊予吉寛は江戸時代前期(17世紀後半)に活躍した江戸の鋳物師で、神田鍋町に住しました。延宝元年(1673)から貞享3年(1686)にかけて銅鐘を中心に17例の作例が知られます。その中には本梵鐘の他に寛永寺にかかわるものも含まれており、将軍家との関係の深かさがうかがえ、増上寺の寺格の高さを示している点でも貴重な資料です。
享保年間(1716~1735)に出版され、江戸の地誌としては最も流布し、需要が大きかったとされる『江戸砂子温故明跡誌』及び『続江戸砂子温故明跡誌』にも、本梵鐘は「当地第一の洪鐘なり」「江都第一の洪鐘なり」と紹介されています。