圓通寺梵鐘
- 所在地
- 赤坂5-2-39
- 所有者
- 宗教法人円通寺
- 概要
- 1口 工芸品 平成30年9月25日指定
- 法量
- 総高166.5cm 口径92.0cm
- 公開状況
- 公開
鐘身は乳の間から下方に向けて穏やかに膨らむ円筒形を呈し、裾が下端の駒の爪に連なります。笠形は丈高で平板状にした上面中央に龍頭を据えます。龍頭は二頭の龍が相反する形で、背には蓮台に載せた火焔宝珠を置きます。縦帯と中帯が交わる位置2カ所に複弁八葉蓮華文の撞座を設けます。下帯の4カ所に蓮華唐草文を陽鋳します。蓮華唐草文は中央に斜め上から見た形の蓮華を配し、その左右に蕨手の組み合わせ文を伸ばしています。
本梵鐘は銘文中に「鼠・牛・虎・兎・竜・蛇・馬・羊・猿・鶏・狗・猪」の文字を使った七言律詩が記されていることから「十二支の鐘」と呼ばれ、宝暦年間(1751~1764)頃までは時の鐘を撞いて地域に親しまれていて、本区の歴史を知る上でも貴重です。
昭和18年(1943)12月に、太平洋戦争のため国に供出され、その後行方が分からなくなっていましたが、昭和50年(1975)に板橋区の寺院にあることが判明し、譲り受けました。現在でも除夜の鐘として撞かれています。
銘文中に鋳物師名は記されていませんが、梵鐘全体の形はもとより縦帯や中帯による区画、乳や撞座など各部分が元禄3年(1690)に矢部豊前掾重正によって鋳られた承教寺梵鐘とよく似ています。このことから本梵鐘は17世紀末~18世紀初め頃に矢部豊前掾重正よって鋳られたとみなしてよいでしょう。