東禅寺事件銀製メダル及び江幡家文書
この文化財は、文久元(1861)年5月28日夜に発生した東禅寺(イギリス公使館)襲撃事件(以下、東禅寺事件)の際、警護にあたった幕府の外国御用出役の江幡吉平に対して、イギリス政府から贈られた銀製メダルと、これに関係する史料をふくむ文書群からなります。
警護者たちへのメダル授与は、不安定な政治情勢にあった幕末期にはかなわず、明治22(1889)年、連絡の取れた55名へ渡されることになりました。江幡へのメダルは同年7月10日に、娘のきくに授与されました。このときのメダルは本資料のほか1点しか確認されていません(令和2年9月現在)。本資料は小綬付きで箱に収められており、保存状態は良好です。
また、江幡家の由緒書や江幡吉平の事歴、遺族のメダルの受取書や佩用(はいよう)の願書の写、史談会とのやりとり、靖国神社への合祀の誓願の関係文書から、東禅寺事件だけでなく、事件に関するその後の近代社会の動向もうかがうことができます。
本資料は、幕末・近代の貴重な歴史資料として指定にふさわしいものです。