紅葉館資料
紅葉館は明治14（1881）年、純和風の社交場として開設された会員制の高級料亭です。外国の賓客の接待や政財界、海軍関係者の懇親の場として賑わい、硯友社などの文人の交流の舞台としても知られていますが、昭和20（1945）年３月の東京大空襲で焼失しました。
本資料は、紅葉館の跡地を取得しそこに東京タワーを建設した日本電波塔株式会社（現株式会社TOKYO TOWER）に伝わりました。「願伺書類綴込」と題する簿冊は、明治13年から同43年まで30年間にわたり紅葉館で作成・受領された書類468件を綴じています。敷地や建物について東京府などへ提出した願書・伺書とその回答、明治26年に合資会社となった後の決議書や出資者一覧、会計収支など、紅葉館の株式会社化以前の変遷や経営実態に係る書類が中心です。明治13年７月３日付の紅葉館開設に関する文書「芝公園地内字楓山拝借地所坪数并家屋建築位置及営業方法見込書」が単体となっています。
多くの著名人が集った場でありながら資料が乏しい同館の実態を知る上で大変貴重な歴史資料です。