Minato City Preservartion Cultural Properties

港区文化財総合目録

高輪プリンスホテル観音堂・鐘楼・山門

所在地
高輪3-13
所有者
株式会社西武リアルティソリューションズ
概要
3棟 建造物 令和3年9月28日指定

この観音堂は、昭和29(1954)年12月19日に現在地であるホテル敷地内に移築され、日本庭園の一部として利用されています。規模は、桁行3間、梁間3間の平屋建てで、屋根は宝形造(ほうぎょうづくり)の桟瓦葺、組物は三手先を使います。この建物は、奈良県生駒市の長弓寺にあった三重塔の初層と伝えられています。その建設年代は、建築の様式から鎌倉時代末から南北朝時代のものと推定されます。延享年間(1744~8)の頃には、すでに中層、上層は失われていたようです。

昭和11(1936)年に神奈川県鎌倉市内に移築されました。さらに、昭和29(1954)年に高輪プリンスホテルとなった現在地へ再移築され、現在に至ります。平成19(2007)年に屋根を中心とした修理が行われておりますが、三手先組物、窓、扉などに創建時以来の姿がよく残されています。

なお、堂内須弥壇上には十一面観音半跏像(江戸時代前期)が安置されています。また、仏後壁には普賢図と文殊図が、堂内壁の8面に各坐像の僧形図(8体で真言八祖)が、僧形図の下部には蓮池が描かれていた痕跡が確認できます。

観音堂から、15mほど北に建つ、切妻造の本瓦葺きの鐘楼は、来歴は明らかではありませんが、頭貫の絵様は17世紀後期の特徴を持ち合わせています。

鐘楼の横に位置する山門も鐘楼同様に来歴は不明ですが、切妻造本瓦葺きで、瓦紋は鐘楼と同じものであり、同時期の移築と考えられます。

いずれも港区に移築されてから約70年が経過しており、仏教建築としての貴重性と共に高輪プリンスホテルの歴史を示す建物で、指定にふさわしい建造物です。

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