品川台場関連資料
港区教育委員会では、品川台場に関連する資料を収集しています。品川台場とは、嘉永6(1853)年から翌年12月にかけて、幕府が江戸湾防備の拠点として築造した砲台です。
今回の指定分は、品川沖に築造された第一~第六台場および御殿山下台場の図面と附属の文書類、計31枚です。上記の台場のうち、第四台場は資金難によって途中で工事が中止されましたが、そのほかは竣工しています。台場全体の坪数や石垣の幅、高さなどが書き込まれた平面図、石垣の構造断面図など、主に設計や工事計画段階の図面と考えられます。
作成者は幕府作事方などの土木関係者と考えられますが、詳細は不明です。図面の一部には、第一~三、五台場の石垣の修復箇所の記載があるもの、「卯十二月」と記載があるものが含まれています。また、附属の文書には地震による損傷箇所に関する言及があります。これら本資料の一部は、安政2(1855)年10月2日に起きた安政の大地震によって台場が被害を受けた後、作成されたものと推測されます。
各台場の敷地の大きさや砲台の配置、基礎や石垣の構造に加えて、安政の大地震による被害と修復の様子がうかがえる、指定にふさわしい貴重な資料です。