Minato City Preservartion Cultural Properties

港区文化財総合目録

木造歴代上人坐像

所在地
芝公園4-7-35
所有者
宗教法人 増上寺
概要
30躯 彫刻 令和4年10月13日指定

増上寺三解脱門の階上に安置される歴代上人坐像、全30躯。像高は45.4~52.0㎝、檜材の寄木造。胡粉下地に彩色を施し、玉眼を嵌入する。また各像の首ほぞや襟の内側、裳先裏に歴代や名称が記され、像主を特定することができる。30躯のうち28躯は第3、5、9~11、15~31、34~38、40世の上人像で、2躯は像主不詳である。
「三縁山志」巻2によると、もとは寛永10(1633)年造の同寺開山堂に安置されていた。かつては開山酉誉聖聡の像を中央に、左は中興12世源誉存応、右は17世照誉了学の三厨子が正面須弥壇上に安置され、南北に歴代の上人像が安置されていたという。「享保年中の後は像を略し位牌を並ふあり」の記述があるように、享保20(1735)年に没した40世衍誉利天の像を最後とする。開山堂が東京大空襲で罹災した後に三解脱門へ移されたものと考えられる。現在は門階上の釈迦三尊像と十六羅漢坐像の前に、向かって左に14躯、右に16躯の計30躯が安置される。
このうち数体には体内納入品や銘文があり、仏師や制作年などを知ることができる。少なくとも16世(寛永9〔1632〕年銘)以降の各像は在位中あるいは没後すぐに制作されたと考えられ、仏師は京仏師や江戸在地の仏師などさまざまである。各像の相貌は老若を表現し、各々の人となりを写す意が感じられる。制作時期や仏師は異なるが、像高や像容に統一感があるのは、開山堂安置という目的のために制作されたからであろう。なお歴代上人像と一連の並びで安置される像主不詳の僧形坐像1躯のみ保存状態が異なっており、平成20(2008)年に「木造僧形坐像」として指定されている。いずれも港区の歴史に欠かせない貴重な文化財といえる。

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