Minato City Preservartion Cultural Properties

港区文化財総合目録

赤坂氷川祭の山車人形 附 山車附属品

所在地
赤坂6-10-12
所有者
特定非営利活動法人 赤坂氷川山車保存会
概要
8組 有形民俗文化財 令和4年10月13日指定

山車人形は祭礼の神輿に供奉する山車を飾る人形で、江戸時代後期に多く製作された。江戸時代の赤坂氷川神社の祭礼は山王祭、神田祭に次ぐ大祭で隔年6月15日に行われ、基本的には宮神輿と赤坂21ケ町の産子町がだす江戸型山車13本と附祭が巡行した。「猩々」「猿」「翁」「源頼義」「恵比寿」「神武天皇」「翁二人立」「日本武尊」の8組の人形は、幕末から近代にかけて製作され、江戸・東京の山車人形の製作事情・構造を知る上で貴重な資料である。山車人形は、祭礼に使用されるため後世何らかの修理が施されている例が多いが、人形をはじめ飾り幕や高欄、扁額、小道具類などの附属品を含めて、本資料の多くはほぼ製作当時の状態を保っていると考えられる。弘化2(1845)年の「翁」、同3年の「源頼義」(共に松雲斎徳山作)は、「日本武尊」とともに、江戸の山車人形師の技を伝える。さらに大正4(1915)年の「神武天皇」や昭和初期の「恵比寿」は、東京23区内の祭礼で山車が衰退した20世紀に、江戸の祭礼の面影が港区赤坂に生き残っていたことを示す。
都心部の山車は近代以降、老朽化や震災、戦災などによりそのほとんどが失われ、多くが関東の地方都市などへ流出した。そのなかで本来の地に現存する本資料の希少性は高い。なお平成18(2006)年以降に祭礼が復興され、人形や飾り幕の修復、山車の製作が順次進められ、神輿が新調された。現代の赤坂氷川祭では資料保全のためレプリカの人形を用いて巡行が行われ、地域の振興と交流に寄与している。いずれも港区の歴史・民俗を知る上で貴重な文化財といえる。 

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