中津川家文書
- 所在地
- 三田2-15-45
- 所有者
- 学校法人慶應義塾
- 概要
- 179点 古文書 令和5年10月12日指定
- 公開状況
- 非公開
- 写真タイトル
- (砲術相伝絵巻)
中津川家文書は、仙台藩伊達家の家臣である中津川家に伝来した古文書です。平成18(2006)年3月に、慶應義塾の卒業生であるご子孫から同校へ寄贈されました。内容は、戦国時代から幕末期に至るまでの伊達家当主の書状、中津川家の家系図や家譜、剣術・砲術・柔術の免許目録などの武芸関係、生花など学芸関係の文書となっています。形態は、巻子や竪帳、横帳、折本などから、一紙のものまで様々です。
主君の伊達家は、戦国時代には奥羽地方の戦国大名、江戸時代には仙台藩62万石の大名となり、明治維新を迎えます。中津川家は、この間300年以上に渡って伊達家に仕えました。
江戸時代に成立した仙台藩家臣団の家格とその序列は、一門・一家・準一家・一族・宿老・着座・太刀上・召出・平士・組士・卒となっていますが、中津川家の家格は平士で、陸奥国栗原郡(現在の宮城県栗原市)などに約10~30貫文(約100~300石)の領地を与えられていました。平士とは仙台藩家臣団の主力を構成した家臣たちで、多くは大番組に属する大番士などの家臣です。また、仙台藩は現在の港区域に複数の屋敷を所有し、中津川家の人物の中には仙台藩江戸屋敷に勤務した者もいるなど、中津川家は港区域と関係があったことも窺えます。
上記のうち、伊達家当主から中津川家へ発給された書状は、江戸時代に仙台藩伊達家が編さんした歴史書である『伊達正統世次考』や『伊達治家記録』に史料として活用されています。また、安政の大地震によって仙台藩江戸屋敷が破損したことや江戸市中が混乱したことを記した文書も含まれています。
戦国時代から幕末期に至るまでの間、大名家に仕えた武家に伝わる文書群として、様々な情報が記されている貴重な資料です。